鰡八大尽ぼらはちだいじん)” の例文
さればこそ鰡八大尽ぼらはちだいじんの如きをさえ向うに廻して大いに争ったが、その争いたるや君子——でないまでも卑劣な争い方は決してしていない。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
この櫓というのは、道庵先生が鰡八大尽ぼらはちだいじんに対抗して、馬鹿囃子ばかばやしを興行するために特に組み上げた櫓の名残りであります。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それとはまた別に、長者町に妾宅を構えた鰡八大尽ぼらはちだいじんも、御多分に洩れず洋行することになりました。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
鰡八大尽ぼらはちだいじんの妾宅が出来てからというものは、その名物の株を奪われそうになったのであります。
ことにこのごろは鰡八大尽ぼらはちだいじんと楯を突き合っている時でもあるし、よしこれは道庵が書かないにしても、道庵に知合いのもの、道庵のもとへ出入りする者の仕業しわざではないかと
先生は相変らずだが、その子分たちが枕を高くして寝られないことがたった一つあります。それはほかでもない、洋行に出かけた鰡八大尽ぼらはちだいじんがいつ帰って来ないものともわかりません。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その普請というのは、そのころ有名な鰡八大尽ぼらはちだいじんというものの妾宅なのであります。
先生が唯一の好敵手であった鰡八大尽ぼらはちだいじんは、あの勢いで洋行してしまったし、それがために、隣の鰡八御殿は急にひっそりして、道庵の貧乏屋敷に一陽来復の春が来たのはおめでたいが
大菩薩峠:19 小名路の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)