鯨油げいゆ)” の例文
『その性狂暴、奢侈しやしに長じ、非分の課役をかけて農民を苦しめ、家士を虐待ぎやくたいし、天草の特産なる鯨油げいゆを安値に買上げて暴利をむさぼり』
老外人の夫妻は、彼らと同じように、割麦の大部分な日本米を食べ、鯨油げいゆをたらしたまずい野菜汁をすすり、沢庵漬たくあんづけをも噛んだ。
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「やっぱり、そうだ。きさま、鯨油げいゆの入っている缶を、盗んでいたんだな。どうするつもりか、鯨油を、懐中に入れて」
地底戦車の怪人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
じっさい君たちには、独立した生活なんてものは、これっから先もないんだ! 君たちはまるで鯨油げいゆでできた人間だ。
だんだん近くなりますと、それは頑丈がんじょうそうな変に小さな腰の曲ったおじいさんで、一枚の板きれの上に四本の鯨油げいゆ蝋燭ろうそくをともしたのを両手に捧げてしきりにう叫んで来るのでした。
ポラーノの広場 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
その家には、たったひとり年とったラップランドの女がいて、鯨油げいゆランプのそばで、おさかなをやいていました。となかいはそのおばあさんに、ゲルダのことをすっかり話してきかせました。
「その性狂暴、奢侈しゃしに長じ、非分の課役をかけて農民を苦しめ、家士を虐待し、天草の特産なる鯨油げいゆを安値に買上げて暴利をむさぼり」