魔王まおう)” の例文
敵たる門徒の人々が憎みののしるとおり、まさしく彼の行為は、夜叉やしゃ魔王まおうそのものであり、その姿は悪鬼羅刹あっきらせつというもおろかなほどだった。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
仕立屋さんがこういうのをききますと、みんなはすっかりこわくなって、まるで魔王まおう軍勢ぐんぜいわれてでもいるように、われさきにとにげだしました。
清盛の懲罰ちょうばつ魔王まおうまかせてください。この世では記録にないほどの恐ろしい苛責かしゃくを受け、死後もまた地獄じごくにおちて永劫えいごうにつきない火に焼かれなくてはならなかったら!
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
ハッと思ってふり向くとたんに、おかのいただきにある南面の朱門あかもんが、魔王まおうの口を開いたように、ギーイと八文字にしひらかれた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)