髪針ピン)” の例文
向う向きのベンチにはおかみさんのブランシユとおしごとに来る小母さんが掛けて居る。ブランシユは髪針ピンを口に銜へながら、膝の上で附髷を結ひ直して居た。
午後 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
場末まちらしい小さい床屋に黄色くなつた莢隠元アリコ・ヹエルしなびた胡瓜コンコンブルの淋しく残つた八百屋、やすい櫛や髪針ピンの紙につけたのから箒、茶碗、石鹸などまでを並べた荒物屋
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
ぱッと蹴る、勢いがよく、いくら髪針ピンの先でふき子が砂の表面へ持ち出しても見る見る砂をかぶる。
明るい海浜 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)