骨董商こっとうしょう)” の例文
当時巴里パリーにありし日本の骨董商こっとうしょう林忠正はやしただまさなる者の助けを借りその蒐集せし資料に基きて彼みずからの Hokousaiホクサイ を著したり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
この言葉は忽ち伝播でんぱし「下手もの好き」とか、「下手趣味」とかいう表現まで生れ、ついには公に「下手もの展」などを開く骨董商こっとうしょうが現れ始めた。
ブウリーの弟子の中に花輪はなわトミという骨董商こっとうしょうの娘があった。その頃外人目当てに横浜に骨董の店を出すものが多かったが、花輪はその先駆者であった。
偉大なる夢 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ほら、骨董商こっとうしょうのチャンフーが殺された日のことよ。おまえが黄金メダルの半分を見つけて、まんまと両面の撮影に成功して、ひきあげてからのことだ。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
はじめ拓本職人の老人が出入りの骨董商こっとうしょうに展観の会があるのを老人に代って手伝いに出たのがきっかけとなり、あちらこちらより頼まれるようになった。
食魔 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
テラポンティゴヌス・ミレスは擲弾兵てきだんへいヴァドボンクールと腕を組み合って歩くであろう。骨董商こっとうしょうダマジプスはパリーの古物商人のうちに納まり返るであろう。
各流能楽の家元いえもとから、音楽ずきの物持ち長者、骨董商こっとうしょうというような所を、根気よく万遍まんべんなくめぐって「鼓をご紛失ではござらぬかな?」こういって尋ねたものである。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「申し上げます、只今、山科の骨董商こっとうしょうが参上仕りましたが、いかが取計らいましょうや」
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
浅山の話によると、ここはもと神田で大きな骨董商こっとうしょうをしていた中村の父親の別邸で、今の代になってから、いろいろな失敗が続いて、このごろではこの家すら抵当に入っているということであった。
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)