馬場孤蝶ばばこちょう)” の例文
また馬場孤蝶ばばこちょう氏の記するところでは、美人ではなかったが決して醜い婦人ではない。先ず並々の容姿であったとある。
樋口一葉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
(小田原時代や柳原時代は文壇とはよほど縁が遠くなっていた。)緑雨が一葉の家へしげしげ出入でいりし初めたのはこの時代であって、同じ下宿にくすぶっていた大野洒竹おおのしゃちくの関係から馬場孤蝶ばばこちょう
斎藤緑雨 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
だいぶまえのことであるが、一葉の記念碑がその住居の跡に建てられて、電車通りにある西徳寺で、故人をしのぶ講演会が催されたことがあった。馬場孤蝶ばばこちょう菊池寛きくちかん長谷川時雨はせがわしぐれの三人が来て話をした。
安い頭 (新字新仮名) / 小山清(著)
大正五年七月九日先生のいまだおおやけにせられざるに先立ち馬場孤蝶ばばこちょう君悲報を二、三の親友に伝ふ。余倉皇そうこうとして車を先生が白金しろかねていに走らするに一片の香煙既に寂寞として霊柩れいきゅうのほとりに漂へるのみ。
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)