“偲”のいろいろな読み方と例文

読み方	割合
しの	95.0%
しぬ	1.8%
シヌ	1.8%
おも	0.5%
しのば	0.5%
シヌブ	0.5%

しの

しかし郊外には、いい住宅地がたくさんあって、そういうところには、樹木が多く、日本の秋の美しさを偲（しの）ばせる風趣が十分にある。

ウィネッカの秋 (新字新仮名) ／ 中谷宇吉郎(著)

しぬ

『直（ただ）の逢（あひ）は逢ひかつましじ石川に雲立ち渡れ見つつ偲（しぬ）ばむ』（二二五）といふのが出て居る。

人麿の妻 (新字旧仮名) ／ 斎藤茂吉(著)

シヌ

吾（ア）はもよ偲（シヌ）ぶ。藤原處女

死者の書 (旧字旧仮名) ／ 折口信夫、釈迢空(著)

おも

「ウーム、こう見ていると、背骨の髄（ずい）まで凍（こご）えてきそうだ。こんな名刀をさしていた人の、若い姿が偲（おも）われるなあ」

鳴門秘帖：02 江戸の巻 (新字新仮名) ／ 吉川英治(著)

しのば

古家の俤（おもかげ）も偲（しのば）れなくなった。

湯島詣 (新字新仮名) ／ 泉鏡花(著)

シヌブ

「野（ヌ）」であるとか、「角（ツヌ）」であるとか、「偲（シヌブ）」、「篠（シヌ）」という風な現在「の」と発音するものは、昔は「ぬ」と言って、その「ぬ」には「怒」を使って「奴」を使った例はない。

古代国語の音韻に就いて (新字新仮名) ／ 橋本進吉(著)

偲	漢検準1級 部首:⼈ 11画