飼蚕かいこ)” の例文
旧字:飼蠶
見まもるのは、わしの役目、この婆の側にいて、せがれがもどるまでに、畑仕事、飼蚕かいこのしよう、お針、行儀作法、何かと教えましょう。よいか
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
村では、飼蚕かいこの取り込みの中で菖蒲しょうぶの節句を迎え、一年に一度のちまきなぞを祝ったばかりのころであった。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
留守中には、分家の聟を家長と立て、飼蚕かいこも怠るまいぞ、田や畑に草をやすまいぞよ。よいかの、皆の者——
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
暗くなるまでの一日仕事をおえて帰るにも、手ぶらでは帰らない、腰の曲った体のかくれるほど、春蚕はるごの桑の葉を背負いこんで、なお、夜業よなべ飼蚕かいこでもやろうというくらいなおすぎ婆あさんであった。
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)