飫肥おび)” の例文
西郷東上すとの声を聞いて、佐土原、延岡、飫肥おび、高鍋、福島の士族達は、各々数百名の党を為して之に応じて、熊本に来て合した。
田原坂合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
須磨子は三年前に飫肥おびへ往ったので、仲平の隠家へは天野家から来た謙助の妻淑子よしこと、前年八月に淑子の生んだ千菊せんぎくとがついて来た。
安井夫人 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
日向国飫肥おび領の山中にて、近き年菟道弓うじゆみにて怪しきものを取りたり。惣身そうしん女の形にして色ことのほか白く黒髪長くして赤裸なり。人に似て人にあらず。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
翌年仲平が三十、お佐代さんが十七で、長女須磨子すまこが生まれた。中一年おいた年の七月には、藩の学校が飫肥おびうつされることになった。
安井夫人 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
なか一年おいて、四十のとき帰国してから、だんだん飫肥おび藩で任用せられるようになったので、今では田畑の大部分を小作人に作らせることにしている。
安井夫人 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
落合かうあざなは子載、はじめ鉄五郎、後敬助と称し、䨇石と号した。日向国飫肥おびの人である。䨇石の事は三村清三郎、井上通泰、日高無外、清水右衛門七の諸家の教に拠つて記す。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)