頭目とうもく)” の例文
彼の部下もちゃんと元気に秩序立って活動していますから、頭目とうもく烏啼は死んだのではなく、どこかに隠れているにちがいありません。
そこの平らかな岩盤を酒の場として、花栄や宋江や頭目とうもくどもが、杯を手に、風流な談笑でもわしているかのような姿ではないか。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
前に言うた忠さん、それから千歳村墓地敷地買収問題の時、反対がわ頭目とうもくとなって草鞋わらじがけになって真先に働いたしっかり者の作さんも亡くなりました。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
と。ツカサは巫女を意味しまた多くは神の名であった。カワラは沖繩の按司あんじと同じく、また頭目とうもくのことである。先島の神人には角を名につくものが他にもある。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
沈黙を破ったのは、この隊の頭目とうもく、高大之進でした。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
家長と家の子、といったような親しみぶかいところもある代りに、頭目とうもく手下てしたと呼び合ってもおかしくない、野人ぶりもあった。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いつか机博士が、六天山塞ろくてんさんさい頭目とうもく四馬剣尺しばけんじゃくの姿を、レントゲンで透視とうししたことがあったが、それは脚にながい竹馬をゆわえつけた小男であった。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
僅かにわかるのはテダは日輪にちりんのことだが、ここではタクシという土地の頭目とうもくを意味し、その長久を石と金属との永続性によそえたもので、おそらくはこの「おもろ」の生まれた時代には
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「だが、君の流刑るけいを聞き、また君が俺にしてくれた友誼ゆうぎの厚さに、山泊やま頭目とうもく連中は、どうしても一度君に会いたいといってきかないんだ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もう一つは、六天山塞ろくてんさんさい頭目とうもく四馬剣尺しばけんじゃくの手から猫女ねこおんなの手へ移った。このあと、この二つの貴重なる黄金メダルは、いかなる道を動いていくのであろうか。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
なんでも、おれたち三人の頭目とうもくの首に、ぜに三千貫の賞を懸けて、諸所の街道に高札こうさつを立て、旅人の夜歩きを禁じたり、土民の自警隊をすすめたりしているそうだから
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「新しく傷を負わせたのじゃなかろうね。そうだったら、頭目とうもくのきげんが悪くなるぜ」
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
氏家広行は大垣の城主で、いわゆる地侍の頭目とうもくである。岐阜の抑えとして、その氏家だけを留めておくのは、不安な上に、或いは、神戸信孝と通じて、離叛りはんせぬ限りもない。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
他の異人たちも、いつしか同じように、首の下だけに光の輪をこしらえ、頭目とうもくらしい者のあとについて斜面しゃめんを下っていった。彼らの動作は、いかついからだのわりに身がるに見えた。
三十年後の世界 (新字新仮名) / 海野十三(著)
山岡景隆兄弟や、同苗美作守どうみょうみまさかのかみなどの一族は、いわゆる甲賀武士の頭目とうもくだった。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)