すくはば手にも取り得んばかりなり、心のちり吹き起す風もあらぬ静邃閑寂せいすゐかんじやくの天地に、又た何事の憂きか残らん、時にふさはしき古人の詩歌など思ひ浮ぶるまに/\微吟しつ、岸の紅葉、空の白雲
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)