雪隱せついん)” の例文
新字:雪隠
足しいでつゝ手をばすゝがんと見れば雪隱せついんの角の柱に五合樽の片手かたてり引掛あれど中には水なし困じてそばに待ゐたる和吉に吩咐いひつけ井戸の水を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「わしが代りにいてこうか。」と、千代松は冷かしたが、心の中では初代の梅の坊が女犯によぼんの罪を自ら責めて、別當への申譯に、あの上の雪隱せついんで舌を噛み切つて死んだといふ話に就いて考へてゐた。
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
りしが甲夜よりして枕に着たるゆゑなるか夜半の鐘に不斗ふとを覺し見ればかたへにお光のをらぬにさて雪隱せついんへでも行きたるかと思うてやほら寢返ねがへりなし煙草たばこのまんと枕元を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「梅に鶯」と繪にある通りのものを、竹丸はよく雪隱せついんの窓から見た。
天満宮 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
始め位牌堂ゐはいだうより其下の戸棚迄とだなまでがらり/\と明放あけはなして見るに中にはふるびたる提灯ちやうちん香奠かうでんの臺など有り夫よりして臺所だいどころ部屋々々へや/\座敷の廻り次の間ちやの間納戸なんど雪隱せついんは申に及ばず床下迄も殘る隈無くまなく尋ぬる處へ茂助もいき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)