雨樋あまどひ)” の例文
今日はぶりき屋が來て、いつも鳥籠をかけて置く板壁のそばの、雨樋あまどひを直してゐるので、こちらへ置かれたのだらうと話した。
赤い鳥 (旧字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
と言ふ聲を後に二階の縁側の欄干らんかんを越えると、ひさしを渡つて、腹ん這ひに雨樋あまどひに手が掛りました。
へやは二階のはしで、窓のそばに、大きな雨樋あまどひが地面までつゞいてゐました。エミリアンはそのとひ留金とめがねに片手でつかまり、樋に両足をかけると、そのまゝ、するすると滑りおりました。
エミリアンの旅 (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
雨樋あまどひからはぽとりぽとりとえに落つる水音みづおと
太陽の子 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
「知りませんよ。屋根から雨樋あまどひを傳はつて降りて來たのは、この野郎だけで」
「その上、庇の脇差は、投り上げたのでなくて、上から滑り落したのだ。二階の窓の敷居に、少しばかり血が付いてゐるし、屋根のトントンきのまさにも、血の跡があり、滑り留つたところが、庇の雨樋あまどひの上だ」