闃寂ひつそり)” の例文
道が段々山里の方へ入つて行くと、四辺あたりが一層闃寂ひつそりして来て、石高いしだかな道をき悩んでゐる人間さへがんな心をもつてゐるか判らないやうにおそれられた。
或売笑婦の話 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
彼の屋敷は山寺のやうな大きな門構や黒いへいやに取囲まれて、白壁の土蔵と並んで、都会風に建てられた二階家であつたが、門の扉がぴつたりとざされて、内は人気ひとけもないやうに闃寂ひつそりしてゐた。
或売笑婦の話 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)