長尾ながお)” の例文
次の日のひるごろ、キャラコさんと茜さんは、長尾ながお峠の頂上に立っていた。眼のしたに、あしが、古鏡のように、にぶく光っている。
キャラコさん:03 蘆と木笛 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
それはもう秋風の立ち始めました頃、長尾ながお律師様りっしさま嵯峨さが阿弥陀堂あみだどうを御建てになって、その供養くようをなすった時の事でございます。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
馬鹿にして居る者もあるが、信ずる者が多い。信ずる者は、吉さんのことばで病気もなおり、なくなったものも見出す。此辺での長尾ながお郁子いくこ御船みふね千鶴子ちづこである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
所詮は長尾ながお僧都そうずは申すまでもなく、その日御見えになっていらしった山の座主ざす仁和寺にんなじ僧正そうじょうも、現人神あらひとがみのような摩利信乃法師に、きもを御くじかれになったのでございましょう。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)