金蔵かねぐら)” の例文
旧字:金藏
それもサ、何もお前さんの自腹じばらを切って出せという話じゃねえ、蜂須賀家のお金蔵かねぐらから、威張って引きだせる筋のものです
鳴門秘帖:03 木曾の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
柳生に下げ戻しまして、あとはお城のお金蔵かねぐらへ納めましたならば、八方よきようにしずまりますことと存じますが
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
もし彫刻を命ぜられることになったら、費用は金蔵かねぐらから渡されるであろう。書籍はとくと取調べ、かつ刻本売下うりさげ代金を以て費用を返納すべき積年賦せきねんぷをも取調べるようにということであった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
呂宋助左衛門るそんすけざえもん手代てだいだったのも、備前宰相びぜんさいしょう伽羅きゃらを切ったのも、利休居士りきゅうこじの友だちになったのも、沙室屋しゃむろや珊瑚樹さんごじゅかたったのも、伏見の城の金蔵かねぐらを破ったのも、八人の参河侍みかわざむらいを斬り倒したのも
報恩記 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
金蔵かねぐらができたんだ。」
「だが、あのご大家も、地所金蔵かねぐら、みんな三井にられて、とうとう没落つぶれたんだってね」
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「市十郎にたいし、化物刑部の土蔵に監禁されていたお袖に会わせてやると約し、市十郎の親戚、小普請組こぶしんぐみの大岡兵九郎の屋敷から、幕府お金蔵かねぐらの絵図面を、盗み出させたことがあるな」
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)