酔態すいたい)” の例文
旧字:醉態
あらゆる酔態すいたいを見せた一行の、オンド取りの八五郎が、お六に甘く見られたのも無理のないことでした。
北の方が先ず驚いたのは、主人の国経が常になく酔態すいたいをさらけ出し、だらしない恰好で何か呂律ろれつの廻らない濁声だみごえを挙げていることであったが、左大臣もそれに劣らず酔っているらしい。
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
庫裡くりからはかみさんと小僧とが顔を出して笑ってその酔態すいたいを見ている。三人は廊下から本堂にはいろうとしたが、階段のところでつまずいて、将棋倒しょうぎだおしにころころと折りかさなって倒れた。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
しかし秀吉は酔態すいたいを眺めて、むしろ愛するごとく
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
平次の酔態すいたいが少しひどくなると、八五郎は急に真面目になりました。つい先頃の裏返し輪飾りの件を思い出して、この酔態には何か、わけがありそうに思えてならなかったのです。
ガラッ八は、あの時の平次の酔態すいたいをはっきり思い出しました。