鄱陽湖はようこ)” の例文
「頂上よりは下った中腹で、そこへ登りますると、鄱陽湖はようこから揚子江のながれは目の下で、江南江北も一目に見わたされまする」
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鄱陽湖はようこへ来てからは、家にのこしてある愛妻を見る日もなく、好きな音楽に耳を洗ういとまもなく、ひたすら呉の大水軍建設に当っていた。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いま、鄱陽湖はようこの軍船を、いちどに大江へ吐き出せば、江水のなみもたちまち逆しまに躍り、未熟な曹軍の船列を粉砕することもまたたく間である。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夜来、幾度か早馬があって、鄱陽湖はようこ周瑜しゅうゆは、未明に自邸を立ち、早朝登城して、今日の大評議に臨むであろうと、前触れがきているからである。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、潯陽じんよう城(現在の九江キュウキャン)の河港からまた、水路や陸路を経て、廬山をあおぎながら、鄱陽湖はようこをわたり楽平河らくへいがをめぐり——文字どおり千里の旅を、半歳もかかるのだった。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
周瑜しゅうゆが軍令きびしきため、軽率にうごき難く、ひたすら好機を相待つうち、時節到来、先頃より鄱陽湖はようこに貯蔵の粮米ろうまいそのほかおびただしき軍需の物を、江岸の前線に廻送のことあり
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)