道玄坂どうげんざか)” の例文
たとえば君が住まわれた渋谷の道玄坂どうげんざかの近傍、目黒の行人坂ぎょうにんざか、また君と僕と散歩したことの多い早稲田の鬼子母神きしもじんあたりの町、新宿、白金……
武蔵野 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
渋谷しぶや道玄坂どうげんざか辺は大変な繁昌で、どうして、どうして、この辺どころじゃありませんよ。」と、彼は云った。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
家の方はいろいろの人に頼み八方へ手分けして大急ぎで捜して貰いようやく渋谷の道玄坂どうげんざかに一軒見つかりました。
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
ここも消え失せて茫々ただ余燼をたてている道玄坂どうげんざかでは、坂の中途にどうやら爆撃のものではなく自動車にひき殺されたと思われる死体が倒れており、一枚のトタンがかぶせてある。
堕落論 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
余り腕が痛いので、東京に出たついでに、渋谷の道玄坂どうげんざか天秤棒てんびんぼうを買って来た。丁度ちょうど股引ももひきしりからげ天秤棒を肩にした姿を山路愛山君に見られ、理想を実行すると笑止しょうしな顔で笑われた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
渋谷道玄坂どうげんざか上、二葉。
五百五十句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
かならずしも道玄坂どうげんざかといわず、また白金しろがねといわず、つまり東京市街の一端、あるいは甲州街道となり、あるいは青梅道おうめみちとなり、あるいは中原道なかはらみちとなり、あるいは世田ヶ谷街道となりて
武蔵野 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)