過般いつか)” の例文
店へ来る客の中に、過般いつか真桑瓜まくわうりを丸ごとかじりながら入つた田舎者いなかものと、それから帰りがけに酒反吐さけへどをついた紳士があつた。
蠅を憎む記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
あの、過般いつかもお前さんに話したろう。早瀬さんと分れて、こうなる時、煙草を買え、とおっしゃって、先生の下すった、それはね、折目のつかない十円紙幣さつが三枚。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
まだ可怪おかしかつたのは、一行いつかうが、それから過般いつかの、あの、城山しろやまのぼ取着とつつき石段いしだんかゝつたときで。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
九段第一、否、皇国一の見世物小屋へ入った、その過般いつかの時のように。
革鞄の怪 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「酒井さん、過般いつかも参観に見えられた、これは文学士河野英吉君。」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)