遅速ちそく)” の例文
旧字:遲速
かつ、筆算は一人の手にかない、十露盤は二人を要す。算の遅速ちそくは同様なるも、一人の手間てまだけははぶくべし。
小学教育の事 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
これ等の梅の咲く遅速ちそくは、こゝでは樹の種類のせいではなく、単に陽当りの関係かららしくあります。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
○ベースボールの特色 競漕きょうそう競馬競走のごときはその方法甚だ簡単にして勝敗は遅速ちそくの二に過ぎず。故に傍観者ぼうかんしゃには興すくなし。球戯はその方法複雑にして変化多きをもって傍観者にも面白く感ぜらる。
ベースボール (新字新仮名) / 正岡子規(著)
一、人の世を渡るはなお舟にのって海を渡るがごとし。舟中の人もとより舟と共に運動をともにすといえども、ややもすればみずから運動の遅速ちそく方向に心付こころづかざること多し。
旧藩情 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)