連枝れんし)” の例文
同じく皇室御先祖の連枝れんしながらさまで大義に触れざる夷子えびす社や山の神を手近く引くほどの準備はゆるし置かれたきことなり。
神社合祀に関する意見 (新字新仮名) / 南方熊楠(著)
帝位の争いに連枝れんし連枝がもつれ合ッた結果、その即位そくいの君を、“かわりばんこ”に双方から出す——という約束をしたと時代があったことなのである。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
生母は清香院といって、幕府の連枝れんしの松平の出であり、その実兄に当る松平外記が後見になった。
桑の木物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
思えば北条殿、新田殿、足利殿、また後醍醐のきみや、幾多の連枝れんし、廷臣もみなこの時に生れ合せて、いやでも越えねばならぬ悪時代をこえるために戦ったものとも申せましょうか。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
せんかんと泉声せんせいが聞えて、床をふむ足の裏が冷々ひえびえとする。僧正とは、天台六十二世の座主ざす慈円和尚じえんおしょうのことである。月輪関白つきのわかんぱく御子みこであり、また連枝れんしであった。すけは、廊下の端に坐る。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)