逢引あひびき)” の例文
と言つても目印めじるしの井戸のあつたのは坂下で、其處で逢引あひびきしようといふのは、少し薄寒くもありましたが、そんなことを考へても居られません。
男と女が話をしてゐれば、それがただちに逢引あひびきですか。又妙齢としごろの女でさへあれば、必ず主有るにきまつてゐるのですか。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
いつもの逢引あひびきにかげもみせない。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
私と逢引あひびきの最中、と言つたところで、ツイ今しがたまで、手を取合つて居たんだから、金之助を殺す筈はありません。
ああ云ふぬし有る婦人と関係遊ばして、始終人目を忍んで逢引あひびきしてゐらつしやる事を触散ふれちらしますから、それで何方どちらが余計迷惑するか、比較事くらべつこを致しませう。如何いかがで御座います
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
安五郎とお竹が逢引あひびきしてゐる僅かの隙にお咲の部屋に忍び込んで、あんなむごたらしいことをし、それから喜三郎の寢卷を土埃つちほこりすゝで汚して置いたんだらう。
「御苦勞々々々、それだけでも解れば助かるよ——俺の方は今朝お梅と金之助が此邊で逢引あひびきをしてひどく親しさうにしてゐたのを見たといふ人をつかまへたよ」
隨分不氣味な逢引あひびきだが、お吉は生れ乍ら轉婆娘で、そんな事が面白くて/\たまらなかつたことだらう。
「この手紙で見ると、新助とお駒は、時々逢引あひびきして居たやうだが、お前さんは、知らなかつたのかい」
「お駒は身でも投げ兼ねない樣子だから、逢引あひびきも見て見ぬ振をして居たんだ。——こんな思ひまでさせられた上、娘を殺されて引つ込んで居られると思ふか、ヤイ」
そんなことで薊の三之助と逢引あひびきをする約束をさせられたが、戸締りが嚴重で引入れる工夫はない。
「祝言前の逢引あひびきは、たまらねえ樂しみだつてね。あつしには覺えはねえが」
「それでは、お孃さんと左母次郎は、逢引あひびき位はするだらう」
「噂の彦太郎が、お袖と逢引あひびきしてゐるぢやありませんか」
「人待ち顏ぢやないか、逢引あひびきかも知れないよ」
私の部屋の前で逢引あひびきをしてをりました。