辰口たつのくち)” の例文
龍口りょうこうといったのは、『医心方』が若年寄わかどしより遠藤但馬守胤統たねのりの手から躋寿館に交付せられたからであろう。遠藤の上屋敷は辰口たつのくち北角きたかどであった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
山にる、辰口たつのくちという小さな温泉にきて帰るさ、くだんの茶屋に憩いて、児心こどもごころに、ふと見たる、帳場にはあらず、奥の別なる小さき部屋に、黒髪の乱れたる、若き、色の白き、せたる女
一景話題 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)