身装みな)” の例文
旧字:身裝
すると又或日お神さんは外から帰つて来て、わたし身装みなりは貴婦人よりずつと立派にしてるのにお前さんが仕立屋では困るぢやないの。
金剛石 (新字旧仮名) / 夢野久作(著)
西門慶せいもんけいは、今日も身装みなりを着かえていた。めかし頭巾も紫紺色しこんいろの、まるで俳優めかしたのをかぶり、少々は薄化粧などもしているらしいにおい。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私の決心はぐらつきません。贖罪しょくざいをして新しく生まれ変わったら、その身装みなりをお目にかけに行きます。……キャラコさん、私はあなたにひどい嘘をつきましたが、どうぞ、ゆるしてください。
キャラコさん:03 蘆と木笛 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
それが、女であるだけ疲れかたが違ったところにあり、働いている間身装みなりにしろ男の人の方が働き易い自由さを持っていると思う。和服の帯付きで働いている女の人だってまだ数は多いでしょう。
女性の生活態度 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
お役人さんて妙ね、髭をはやした立派な身装みなりをした人が、痩せこけたみすぼらしいお爺さん見たいな人にヘイヘイするんですものねえ。あのお爺さんがきっと判事さんとか検事さんとかいうのよ。
ニッケルの文鎮 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)