赤坊あかんぼう)” の例文
私が何故なぜ別れるやうになつたのでせうと云ひましたら、赤坊あかんぼうの死んだのが悪かつたのだとあなたは云つておいでになりました。
遺書 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
あの赤坊あかんぼう奇麗きれいかは知りませんが、アノ従四位様のお家筋に坊の気高けだかい器量に及ぶ者は一人もありません。
忘れ形見 (新字新仮名) / 若松賤子(著)
大きな汚い風呂敷包と一緒に、章魚たこのように頭ばかり大きい赤坊あかんぼうをおぶった彼れの妻は、少し跛脚ちんばをひきながら三、四間も離れてその跡からとぼとぼとついて行った。
カインの末裔 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
一方趙家では、蝋燭も線香もつかわずに、大奥さんが仏参ぶつさんの日までしまっておいた。そうしてあの破れ上衣の大半は若奥さんが八月生んだ赤坊あかんぼうのおしめになって、その切屑は呉媽の鞋底くつぞこに使われた。
阿Q正伝 (新字新仮名) / 魯迅(著)
僕達はこの闇の世界へ生れて来た二人切りの赤坊あかんぼうなんだ
孤島の鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)