貧弱ひんじゃく)” の例文
これに対して僕の探偵力は、全く貧弱ひんじゃくなものだった。どう考えていっても、『赤外線男』という超人を肯定するよりほかに仕方がなくなるのだ。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そこがどんなに貧弱ひんじゃくで、やせた土地であるかは、森のあいだに切りひらかれているはたけがごくすくなく、そこに立っている家もひどくちっぽけで
わたしはまずまっ先にあらわれて、ハープにつれて二つ三つ歌を歌わなければならなかった。正直に言えばわたしが受けたかっさいはごく貧弱ひんじゃくだった。
昭和二十四年の夏頃になって、貧弱ひんじゃくながらも自分の家に住むことが出来た。いち早く、昔住んでいたひき蛙が数匹現われて、愛嬌あいきょうを振りまいてくれることに喜びを感じた。
親は眺めて考えている (新字新仮名) / 金森徳次郎(著)
彼はルイザとおなじように小柄こがらで、せていて、貧弱ひんじゃくで、少し猫背ねこぜだった。としのほどはよくわからなかった。四十をこしているはずはなかったが、見たところでは五十以上いじょうに思われた。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
このとき聖者の身体から、絢爛けんらんたる着衣がするすると下に落ちた。と、聖者の肉体がむき出しに出た。が、それは黄いろく乾からびた貧弱ひんじゃくきわまる身体であった。
霊魂第十号の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
だけど、どんなにちっぽけで、貧弱ひんじゃくでも、いまのニールスにとっては、よすぎるほどでした。