誣言ふげん)” の例文
詮ずるところ人間主義の小説界に入りしは、十九世紀に於ける特相といふも誣言ふげんにあらじ。なほいとをさなきほどの顯象なり云々。
柵草紙の山房論文 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
いろいろと誣言ふげん教唆きょうさした、采女は養子のことでもあるし年も若いので、二人におどされ云いくるめられた結果、心ならずも同意しただけである。
イエスが国民を煽動せんどうして、ローマ皇帝にみつぎを納むることを禁じたなどということは、全く事実に反した誣言ふげんであった。
キリスト教入門 (新字新仮名) / 矢内原忠雄(著)
禾本科の立派な立てもので秋をシンボライズして居り、これなくば秋の景色は平凡化するといっても誣言ふげんではあるまい。ススキの花穂の立ち出たものを歌では尾花オバナと称する。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
さまで誣言ふげんでもありますまい。
禾花媒助法之説 (新字新仮名) / 津田仙(著)