褒賞ほうしょう)” の例文
彼は子供の時、故郷のムーランの中学校で幾つかの褒賞ほうしょうをもらい、彼がヌヴェール公爵と呼んでいたニヴェルネー公爵の手から親しく授かった。
ここの焦土からは何の軍功の褒賞ほうしょうも得られはしない。恩賞として、土地の分けまえを貰うのも、官位や職にありつくのも、すべて中央から出るものだった。
だから褒賞ほうしょうの場合の手続などもすこぶる簡単になって、一週で金が下るようになった。政庁の役人は「お婆さんまたやったなあ」と笑いながら、金を渡した。
身投げ救助業 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
成功のあかつきは、博士のはかり知られざるその勲功くんこうに対し、いかなる褒賞ほうしょうでも上奏じょうそういたしましょう。いかなる勲章がおのぞみかな。ダイヤモンド十字章じゅうじしょうはいかがですな。
そしていつもよりは活気づいて艇庫に船をおさめた。夕飯には褒賞ほうしょうの意味で窪田が特別に一人約二合ほどの酒を許した。合宿で公然と酒を飲ませるのは真に異例であった。
競漕 (新字新仮名) / 久米正雄(著)
彼は十四歳のとき、藩主の信濃守しなののかみ政利に論語の講義をした。岡島梅蔭という藩儒の推薦だそうで、講義は一年ちかく続けられ、終ったときには国広の短刀と、銀二十五枚を褒賞ほうしょうされた。
屏風はたたまれた (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
臣又願わくは陛下益々ますます親親しんしんの礼をさかんにし、歳時さいじ伏臘ふくろう使問しもん絶えず、賢者は詔を下して褒賞ほうしょうし、不法者は初犯は之をゆるし、再犯は之をゆるし、三ぱん改めざれば、則ち太廟たいびょうに告げて、地を削り
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
そのほか大小の官僚武人すべてに褒賞ほうしょうの沙汰があり、故曹操の大葬終るの日、高陵の墳墓には特使が立って
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)