袋叩ふくろだた)” の例文
「みんなで袋叩ふくろだたきにして大川へ放り込み、二度と御朱引き内の土は踏ませねえって、はっきり契約したし、みんなその約束を守って来た筈だ」
源蔵ヶ原 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
血腥ちなまぐさい噂がそこら中に広がってる時である。女のような美術家が袋叩ふくろだたきにされて半死半生になったという噂も聞いている。
最後の大杉 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
気の毒なのは市五郎で、ポカポカと八方からこぶしの雨を蒙って、半死半生はんしはんしょうていにまで袋叩ふくろだたきにされてしまいました。
チョッ、べら棒め、サーベルがなけりゃ袋叩ふくろだたきにしてやろうものを、威張るのもいいかげんにしておけえ。
夜行巡査 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「いつかの朝、顔をこぶだらけにして帰って来たでしょう、あの時吉原で、袋叩ふくろだたきに逢ったんですって……言ってくれるなと言ったから言いませんでしたがね。」
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
ここでいっその事毒突返どくづきかえしたなら、袋叩ふくろだたきにうか、または平等の交際が出来るか、どっちか早く片がついたかも知れないが、自分は何にも口答えをしなかった。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
あの百姓共の殺気の立ち方は?——俺は、袋叩ふくろだたきに逢って、簀巻すまきにされるかと思った。
三人の相馬大作 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
ねて、手筈ができていたものと見え、地下鉄の駅長は、避難してくる群衆を、無制限に地下構内へ入れすぎるという、極くつまらない理窟りくつをもって、群衆の袋叩ふくろだたきに合ったのだった。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
護憲運動ごけんうんどうのあった時などは善良なる東京市民のために袋叩ふくろだたきにされているのですよ。ただ山の手の巡回中、まれにピアノのでもすると、その家の外にたたずんだまま、はかない幸福を夢みているのですよ。
或恋愛小説 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
あたりまえなら、袋叩ふくろだたきにされた上に小屋を