表札ひょうさつ)” の例文
芳郎は静かにその門口かどぐちに往って月の光にさらされた表札ひょうさつに注意した。表札には杉浦と云う二字が書いてあった。
赤い花 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
横田禎輔という檜板の表札ひょうさつが彼の眼を惹きつけた。彼はそれを初めて見るかのようにじっと眺めた。
反抗 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
「そうだね。ほんとうにあき家かもしれない。見たまえ表札ひょうさつも何も出ていないじゃないか。ひょっとしたら相川の坊ちゃんは、このあき家の中へおしこめられたんじゃあるまいか。」
妖怪博士 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)