表情かほつき)” の例文
お客はつばめのやうな口もとをして、気味わるさうに一寸皿の物を嘗めたが、言ひ合はせたやうに変な表情かほつきをして、その儘さじをおいてしまつた。
そして小説家も音楽家と同じやうに、余りいゝ月日のもとには生れ合はさなかつたものだなといつたやうな表情かほつきをした。
それでもあの哀しさうな表情かほつきを見ると、雀たちの腹におもつてゐることくらゐは、ほぼわかるやうな気がする。
独楽園 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
店員は南京虫のやうにそこらの手さげ鞄かシヤツの縫ひ目に潜り込んでしまひたいやうな表情かほつきをした。
そして石屋の担ぎ込むだ石だけでは何だかまだ物足りない様に思つて、いつそ石屋の主人あるじも、人夫も、門先きを通りかゝつたちんばいぬころも、みんな石になつて欲しい様な表情かほつきをした。