蜘蛛男くもおとこ)” の例文
十一、二年頃から二十年頃まで、浅草の奥山はじめ市内各所のお開帳などに必ず出現して大当りを取った蜘蛛男くもおとこがそれである。
明治世相百話 (新字新仮名) / 山本笑月(著)
ドアを開いてはいって来た毛利先生は、何よりさきその背の低いのがよく縁日の見世物に出る蜘蛛男くもおとこと云うものを聯想させた。
毛利先生 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
わが明智小五郎あけちこごろうは、ついに彼の生涯での最大強敵に相対あいたいした。ここに『蜘蛛男くもおとこ』の理智を越えて変幻自在へんげんじざいなる魔術がある。
魔術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
可哀かわいやの、姉様あねさまたち。わしもとを離れてもの、蜘蛛男くもおとこに買われさっしゃるな、二股坂ふたまたざかくまいぞ。」
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
名物が先ず蜘蛛男くもおとこ見世物みせもの、娘剣舞に、玉乗り、源水の独楽廻こままわしに、覗きからくりなどで、せいぜい変った所が、お富士さまの作り物に、メーズと云って
押絵と旅する男 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
猿芝居、大蛇、熊、盲目めくら墨塗すみぬり——(この土俵は星の下に暗かったが)——西洋手品など一廓ひとくるわに、蕺草どくだみの花を咲かせた——表通りへ目に立って、蜘蛛男くもおとこの見世物があった事を思出す。
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
殊に波越警部とは「蜘蛛男くもおとこ」以来のなじみ故、お互に遠慮のない話もはずむのである。
猟奇の果 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)