蛙股かえるまた)” の例文
老婆は、蛙股かえるまたつえにあごをのせて、もう一度しみじみ、女のからだを見た。さっき、犬が食いかかったというのは、これであろう。
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
就中なかんずく椿岳が常住起居した四畳半の壁に嵌込はめこんだ化粧窓けしょうまど蛙股かえるまたの古材を両断して合掌に組合わしたのを外框わくとした火燈型で
と、また急に、老婆は、生き生きと、しわだらけの顔をにやつかせて、蛙股かえるまたつえのはこびを、前よりも急がせ始めた。
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
猪熊いのくまのばばは、そのそばへ歩みよると、蛙股かえるまたつえを止めて、あごをしゃくりながら、呼びかけた。
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)