さい)” の例文
自分と云う性根のない女を、思いきりさいなんでもらわなければならないような気がした。そのくせ、千穂子は与平を憎悪ぞうおする気持ちにはなれなかった。
河沙魚 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
わたくしは「ああ」といって身体をゆすった。もう逸作に反対する勇気はなかった。わたくしはあまりにも潔癖過ぎる家伝の良心にさいなまれることが度々ある。
雛妓 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
押えられ押えられしていた病魔が、一どきに彼女をさいなみにかかったのである。
日は輝けり (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
名誉心、功名心を刺戟するあらゆる事物が、年若い彼を苦しめ、さいなんだ。
日は輝けり (新字新仮名) / 宮本百合子(著)