臍下丹田せいかたんでん)” の例文
按吉は、時々、お天気のいい日、臍下丹田せいかたんでんに力をいれて、充分覚悟をかためた上で、高僧を訪ねることが、稀にはあった。
勉強記 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
第一流の名人が演じても、容易に共鳴出来ないので、座り直して、深呼吸をして、臍下丹田せいかたんでんに力をめて正視してもどこがいいのかわからない場合が多い。
能とは何か (新字新仮名) / 夢野久作(著)
気が逆上ぎゃくじょうすると力が逆上して浮きたつ、だから弱くなる、腹をしっかりとおちつけると気が臍下丹田せいかたんでんおさまるから精神爽快せいしんそうかい、力が全身的になる、中心が腹にできる
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
と新九郎はまず臍下丹田せいかたんでんから気合をしぼって、木剣を片手青眼に持った。と云っても、具眼の者から見たら、すこぶる怪しいというより乱暴な構えであったに過ぎない。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「それでは若様、臍下丹田せいかたんでんのご工夫くふうをおわすれにならないように。内藤君、きみもシッカリ」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
そして、煮えくりかへるやうな気持を臍下丹田せいかたんでんにささへて、静かに眼を閉ぢた。
双面神 (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
張って臍下丹田せいかたんでんに力を込めているから、一番歌うと汗をかく。すっとして好い気持になるぜ
好人物 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
弁兆は徳利を落し、さて、臍下丹田せいかたんでんに力を籠めて、まず大喝だいかつ一番これに応じた。
閑山 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
「肩へ手がかかった時、おのれ妖怪ようかいござんなれと、臍下丹田せいかたんでんに満身の力をこめて」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「いや、いっこう。おのれ妖怪ござんなれと、臍下丹田せいかたんでんに満身の力をこめて……」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)