膠着かうちやく)” の例文
藤左衞門は幾度か氣を變へて途中から止さうとしましたが、唇は笛の歌口に膠着かうちやくして、不氣味な調べが劉喨りうりやうと高鳴るばかり。
船のあるのは事實だけれど、引き上げることは困難である。水が冷たいのと巨木の間に挾まれてゐるのと、泥の膠着かうちやくしてゐるのとで上げられない。
霧の旅 (旧字旧仮名) / 吉江喬松(著)
今のフラミニアは我をげんせしめず、我を狂せしめずして、漸く我心と膠着かうちやくすること、寶石のまばゆからざる光の、久しきを經て貴きことを覺えしむるが如くなりき。
そして何も彼も膠着かうちやく状態のまゝにその日も暮れてしまつたのです。