綿屑わたくず)” の例文
もう、結納ゆいのうもすみ、あの家では、初春はるの支度で、花嫁の準備で、友禅ゆうぜん小布こぎれや綿屑わたくずが、庭先に掃き出されてあるのでもそれが分る——と、云うのだった。
濞かみ浪人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
土蔵や火防ひよけ壁などが無かったせいか、家という家がきれいに焼け失せて、焚きおとしのようになった柱や綿屑わたくずやぼろが僅かにちらばっているだけであった。
柳橋物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
綿屑わたくずで結構よ。」
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
六軒家の梟林ふくろばやしに、荒れはてた誓文神せいもんじんほこらがある。この辺一帯、梟や渡り鳥の巣をかけるのが多く、冬になると綿屑わたくずのようなものがどのこずえにもからまって見えるそうな。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)