粋狂すいきょう)” の例文
『絵なぞ描けるくらいなら、何も粋狂すいきょうに、こんな山ん中で泥棒なんぞしている奴があるもんか、このがさつ者の不器用者にゃ、とても、とてもよ』
人間山水図巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かれの粋狂すいきょうは底が知れない。ひとは秀吉を好色というが、そんな単純な、そして、現実的に事のすむ、程度ではない。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おい、邪魔だよ、桶のそばを退いてくんなよ。くそおもしろくもねえ! この炎天に、しびれ薬を売りにいく粋狂すいきょうがどこにあるッてんだ、ばかばかしい」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もとより悪戯いたずら粋狂すいきょうではない。二人の腕を見込んでの頼みごとだ。かねてその名は知ってもいよう。もと鄆城県うんじょうけん押司おうし宋公明さんの一命がおまえらのその技術うでで助かるのだ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『ふウム……。この寒空に、粋狂すいきょうな、何でこんな真似をしているんだ』
山浦清麿 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
背負しょわされてしまったのさ。……ひきうける私もすこし粋狂すいきょうだけれど
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)