簀巻すま)” の例文
同情する! 労働者はほとんどすべてが、罷工ひこうすることのできない地位につき落とされているんだ! あらゆる組織がおれたちを簀巻すまきにしているんだ。
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
……こいつは、加代姫にちょっとよくないことをしたんで、六平たちに簀巻すまきにされて皀莢河岸に沈められた。
あの百姓共の殺気の立ち方は?——俺は、袋叩ふくろだたきに逢って、簀巻すまきにされるかと思った。
三人の相馬大作 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
氷の山、氷の原、氷の谷、空々漠々たる氷の野を、与惣次は目的めあてなく漂泊さすらい出した。時として多勢の人声がした。荒々しい物音もした。簀巻すまきのように転がされている感じがした。
そこいらには半蔵が馬籠から持って来た歌書なども取り散らしてある。簀巻すまきにして携えて来た筆も置いてある。求めらるるままに、彼は自作のふるい歌の一つをその紙の上に書きつけた。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「ええそうよ。名探偵を簀巻すまきにしているところよ。ホホホホホ」
黒蜥蜴 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「店のやつらは簀巻すまきにして、江戸川へほうりこめ」
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「ホホホホホ、明智小五郎、あんたの守護神の明智小五郎が、死んじまったのよ。あの長椅子の中へはいったまま、簀巻すまきにされて、海んなかへ沈められてしまったのよ。たった今、たった今、甲板からドブンと水葬礼にされちゃったのよ。ホホホホホ」
黒蜥蜴 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)