立附たっつけ)” の例文
何よりもまず半蔵は友人を店座敷の方へ通して、ものものしい立附たっつけひもを解かせ、腰のものをとらせた。彼はお民と相談して、香蔵を家に引きとめることにした。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
陣笠じんがさ割羽織に立附たっつけを着用し、帯刀までして、まだ総督を案内したままの服装いでたちも解かずにいる親しい友人を家に迎え入れることは、なんとはなしに半蔵をほほえませた。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
本陣の玄関先にある式台のところは、これらの割羽織に帯刀というものものしい服装いでたちの人たちで混雑した。陣笠じんがさを脱ぎ、立附たっつけの紐をほどいて、道中のほこりをはたくものがある。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)