短慮たんりょ)” の例文
内匠頭のた事を、武士として、当然だとする者もあるし、短慮たんりょである、世間知らずのンチの癇癪かんしゃくだと、非難する者もかなり多い。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「安斉先生はつぎの間へさがったが、お父様とうさまは心配になってのぞいてみた。すると大変! 『ご短慮たんりょ、ご短慮』といって、富田さんがおさえている」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
広忠は二十四の若さで死んだが、聡明そうめいな人だが病弱で神経質で短慮たんりょであったという。家康にとって父の記憶といえば父の風貌面影に就ては殆ど何も残っていない。
家康 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
世人は、内匠頭の行為を、ただ「短慮たんりょ」と片づけているけれど、その短慮の中には、まちがいなく今の時潮にたいする反抗がある。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ご短慮たんりょ、ご短慮!」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
だからきさまの短慮たんりょを、伊那丸いなまるさまも民部みんぶどのも、へいぜいから心配しんぱいするのだ。もしものことを
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ご短慮たんりょ、ご短慮」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「兵庫ことは、天性、御奉公を懈怠けたいいたすようなものではござらぬが、何といっても、若年者、それに短慮たんりょのところもありますゆえ、落度あっても、死罪三たびまでは、おゆるしありたい」
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)