“矍鑠”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
かくしゃく87.9%
くわくしやく12.1%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
とって六十八にもなる兼良のことを、今さら老けたとは妙な言艸いいぐさだが、事実この矍鑠かくしゃくたる老人は、近年めだって年をとった。
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)
しかし、今の返答ぶりで見ると与八は、この矍鑠かくしゃくたるお婆さんから、自分の人相がいいといって感心されたことをお感じがなかったようにも見える。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
77歳の高齢をもって、いまなお矍鑠かくしゃくとして、町民の診療にあたっている氏のためにも、今度の町のもよおしは、ほんとうに心あたたまる朗報である。
恐らくこれは、これもまた矍鑠かくしゃくとしているであろう気丈な彼の老妻が、困苦のなかにいよいよ澄んだ配慮を物語っていた。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
今日その人はなお矍鑠かくしゃくとしておられるが、その人の日夜見てたのしみとなした風景は既に亡びて存在していない。
向嶋 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
暫くして件の青侍に導かれ、緩端えんばた平伏へいふくしたる齋藤茂頼、齡七十に近けれども、猶ほ矍鑠くわくしやくとしてすこやかなる老武者おいむしや
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
が、誰よりも一番似つかはしかつたのはあの老来なほ矍鑠くわくしやくとした端正な鍵屋の隠居、神原直造であつた。
医師高間房一氏 (新字旧仮名) / 田畑修一郎(著)
手紙には衰へたりとのらす伯父けふ相見れば矍鑠くわくしやくとして
閉戸閑詠 (新字旧仮名) / 河上肇(著)
「熱心な信者の船頭がうまく隠してお連れして来たんです。何しろもう七十近い齢で八年の間あの天草でまるで無人島同様な所に乞食のやうな生活をして、僅かな信者を作り乍らかくれてをられたのですからね。しかしその矍鑠くわくしやくとした気力と、つや/\しい顔の輝きとの少しも変らないのには全く驚きますよ。」
彼にはあらゆることが矍鑠くわくしやくとした老船頭だつた父親がいつの間にか耄碌もうろくしてよろよろ歩くやうになつたこと、一番上の姉娘が或る時ひどい熱を出してから頭が変になつていまだに「八文」であること
医師高間房一氏 (新字旧仮名) / 田畑修一郎(著)