盧生ろせい)” の例文
盧生ろせいは、じれったそうに呂翁のことばを聞いていたが、相手が念を押すと共に、青年らしい顔をあげて、眼をかがやかせながら、こう云った。
黄粱夢 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
例の盧生ろせい邯鄲かんたんの夢——黄梁こうりょうせんの出来る間に五十年の栄華を夢みたという話なども、決して単なる偶話ではなく、私の所謂いわゆる第四次元の世界を覗き
支那の古伝説として日本に伝わっている「邯鄲夢枕物語かんたんゆめまくらものがたり」に……盧生ろせいが夢の五十年。実は粟飯一炊あわめしいっすいの間……とあるのは事実、何の不思議もない事である。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
盧生ろせいが夢中に八十年の浮沈行蔵ぎょうぞうあり。ないし、かくのごとき一夢の前中後、冥顕めいけんの異あれども、盧生が身は一貫せり。生死相隔てて幽明別なれども、神識じんしき一貫して滅せず。三世に相続して昇沈無窮なり」
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
盧生ろせいは死ぬのだと思った。目の前が暗くなって、子や孫のすすり泣く声が、だんだん遠い所へ消えてしまう。
黄粱夢 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
現に中華民国の伝説の中には、御存じの通り盧生ろせいの夢という話があります。