オコ)” の例文
旧字:
哥人とあらむ者きたなくする目をよくさまし、此に憤りをオコし、思ひを凝して、よみ口のホコサキスルドにし、其事に随ひ、其物に因り、彼方此方のきらひなく
橘曙覧評伝 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
郎女には、いつか小耳に揷んだ其話が、その後、何時イツまでも消えて行かなかつた。その頃ちようど、称讃浄土仏摂受経シヨウサンジヤウドブツセフジユギヤウを、千部写さうとの願をオコして居た時であつた。其が、はかどらぬ。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
父藤原豊成朝臣、亡父贈太政大臣七年の忌みに当る日に志をオコして、書き綴つた「仏本伝来記」を、其後二年立つて、元興寺グワンコウジへ納めた。飛鳥以来、藤原氏とも関係の深かつた寺なり、本尊なのである。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)