疾走しっそう)” の例文
私たちの乗った車は、空中にまい上ったA型人造人間の破片はへんが、まだ地上におちない先に、国境向けて、疾走しっそうを始めたのであった。
人造人間の秘密 (新字新仮名) / 海野十三(著)
横に走るとは、塀なり垣根なりを足場として、地上とは身を平行にして或る距離を疾走しっそうする。また、逆に天地返しの歩き方というのをやる。
(この場合において基は鬼事おにごとのおかのごとし)故に走者はなるべく球の自己に遠かる時を見て疾走しっそうして線を通過すべし。
ベースボール (新字新仮名) / 正岡子規(著)
ことに、あなたのアマゾンヌの様な、トレエニング・パンツの姿が、A甲板の端から此方まで、風をきって疾走しっそうしてくる。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
すると、疾走しっそうする自動車のうしろの、幅の狭いバンパーのつけねの上に、みょうなことがおこりました。
少年探偵団 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ひゅうッ、と一鞭ひとむちあてると、三はそのまま馬首ばしゅをそろえて、東へひがしへ疾走しっそうしていった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
よこあいからまえ老人ろうじんがあったが、ふいのことであり、かれは、この老人ろうじんきずつけまいとの一ねんから、とっさにハンドルをまわしたので、おりから疾走しっそうしてきた自動車じどうしゃれて
空晴れて (新字新仮名) / 小川未明(著)
二十五番街へさしかかったとき、警告もなく、もう一台の自動車が、後から追いついて来て、いきなり窓と窓とを向いあわせて並列へいれつ疾走しっそうをはじめた。
人造人間殺害事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
悪魔のように疾走しっそうする二台の自動車は、道行く人の目を見はらせないではおきませんでした。
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
そのようすを見て、咲耶子はぜひなく、一方の槍ぶすまをつきぬいて、お花畑はなばたけ疾走しっそうした。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
警笛けいてきを音高くあたりの谷間にひびかせながら、曲り曲った路面の上を、いとももどかしげに、疾走しっそうを始めました。
崩れる鬼影 (新字新仮名) / 海野十三(著)
すると、大手門の橋から、たちまち空をこがすばかりのほのおの一列が疾走しっそうしてきた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、命令一下、かねてこんなこともあろうかと用意して待っていた特別警察隊は、ラジオを備えた警視庁自慢の大型追跡自動車で、京浜けいひん国道を砲弾のように疾走しっそうして行った。
地中魔 (新字新仮名) / 海野十三(著)
と、左の方から一台のトラックが疾走しっそうして来て、っという間にそのトランクに突きあたった。トランクは、フットボールのようにはじかれて上へ舞いあがった。と思う間もなく下へ落ち始めた。
鞄らしくない鞄 (新字新仮名) / 海野十三(著)
と、たちまちものすごい勢いで、がらがらがらと疾走しっそうを始めた。ただし原地人軍の方へ向って前進しないで、何をかんちがいしたか、あべこべに、醤軍の方へ向けて、全速力で後退を始めたではないか。
疾走しっそうする暗黒列車
空襲警報 (新字新仮名) / 海野十三(著)