畝傍うねび)” の例文
そこでかようにして亂暴な神たちを平定し、服從しない人どもを追いはらつて、畝傍うねび橿原かしはらの宮において天下をお治めになりました。
「田鶴子さん、もう一日延ばせなくて? まだ桜井畝傍うねび吉野と御覧になるところが沢山ありますのよ。折角おいでになってこゝだけじゃ惜しいわ」
ぐうたら道中記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
香具山かぐやま畝傍うねびしと、耳成みみなしと相争ひき、神代より斯くなるらし、いにしへしかなれこそ、現身うつそみも妻を、争ふらしき」
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
此年一月末明治天皇は畝傍うねび御参拝の為軍艦に召されて神戸に御着おんちゃく、京都にあらせられた。
田原坂合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
その長歌が「……かるの市にわが立ち聞けば、たまだすき畝傍うねびの山に鳴く鳥の声も聞えず。たまぼこの道行く人も、ひとりだに似るが行かねば、すべをなみ、いもが名呼びて袖ぞ振りつる」
大和路・信濃路 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
予定どおり久米寺や岡寺、飛鳥の古京のあたりの古い寺を訪れるのも、さほど困難ではなかったのだが、汽車にのって落ちつくと、連日の疲れも出て、もう畝傍うねびで下りる勇気はなくなった。
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
畝傍うねび山の樹の葉が騷いでいる。