画餅がへい)” の例文
旧字:畫餠
明朝になったなら、またどうにかしようというのであった。しかしそれは画餅がへいになった。おれはとうとう包みと一しょに寝た。
(新字新仮名) / オシップ・ディモフ(著)
明日の晩お敏に逢えなけりゃ、すべての計画が画餅がへいになるわけだろう。そう思ったら、僕はもう、神にも仏にも見放されたような心もちがしてね。
妖婆 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
折角せっかく白井が尽力してくれたのも画餅がへいとなった、大久保某の言にると、只見川の上流の白沢を登るが便利というので、この登路は林治は知らないのである
平ヶ岳登攀記 (新字新仮名) / 高頭仁兵衛(著)
かくて第二次のお国の計画も画餅がへいに帰したが、平左衛門大難の日は刻々と迫ってくる。しかもその前夜、平左衛門は、姦夫源次郎の姿に身をやつして、ワザと孝助の槍先にかかってしまうのである。
で、マタ・アリも大いに喜んで、殿下のお供をしてトルコへとうとしていると、パリーのエジプト関係者から思いがけない電報が飛んで来て、このドイツの策略はすっかり画餅がへいに帰してしまった。
戦雲を駆る女怪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
この時云い合せたように吐息といきをして、ちらりと視線を交せましたが、兼て計画の失敗は覚悟していても、一々その仔細しさいを聞いて見ると、今度こそすべてが画餅がへいに帰したと云う
妖婆 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)