甚大じんだい)” の例文
食物の良否が国民の健康に及ぼす影響のきわめて甚大じんだいなるものなることが、次第に発見されたためである。
貧乏物語 (新字新仮名) / 河上肇(著)
独逸から追われたユダヤ人の科学者たち、それは独逸の科学を建設した人たちであるが、それらの人々も殆ど全部アメリカに渡って、甚大じんだいな貢献をしたのである。
原子爆弾雑話 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
氏らが当時の少青年の情緒的教育に甚大じんだいな影響を及ぼしたことはおそらくわれわれのみならずまたいわゆる教育家たちの自覚を超越するものであったに相違ない。
読書の今昔 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
有力にして天分有る隠れたる作家が多数現われ、そこに科学小説壇というものを作り、お互いに研究し合い、刺戟し合いしてこそ、始めて意義あり且つ甚大じんだいなる発展が期待されるのである。
『地球盗難』の作者の言葉 (新字新仮名) / 海野十三(著)
大阪の方は格別のこともなかったので阪神間がそう云う災禍さいかったろうとは夢にも想像していなかったところ、正午頃に号外が出、住吉川と蘆屋川あしやがわ沿岸の惨害が甚大じんだいであることを知って
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
戦ふ毎に悪戦ならざるはなく、勝つ毎に甚大じんだいの犠牲を払はざるはなかりき。
閑天地 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
甚大じんだいな意味があろう。分別に止まっている間は、これに向い何の答えをも送ることが出来ぬ。それのみではなく、「達摩だるま未だ西来せざる時如何」とか「蓮華れんげ未だ水を出でざる時如何」とか尋ねる。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
経済の人心に及ぼす影響の甚大じんだいなるものなることを認めつつある者の一人で、その点においては私は十九世紀の最大思想家の一人たるカール・マルクスに負うところが少なくない。
貧乏物語 (新字新仮名) / 河上肇(著)
その損害は容易に評価のできないほど甚大じんだいなものであるように見える。
天災と国防 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)