狸寝入たぬきねいり)” の例文
旧字:狸寢入
旦那様は、安楽椅子に寄懸って、もう居睡いねむりをしてござった。だがそれは狸寝入たぬきねいりらしく、ときどきまぶたがぴくぴくとふるえて、薄眼があく。
什器破壊業事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
お勝手に働いている近所の女達には後で水を持って来るように言ったが、水を持って行った女も、七平と手前は禿頭がよく似ているので狸寝入たぬきねいりを換え玉と気が付かなかったんだ
狸寝入たぬきねいりかしらと一歩、室内に踏みこんだ妾はそこでハッと胸をかれたようになって棒立ちになった。
三人の双生児 (新字新仮名) / 海野十三(著)
丸窓から入ると、主人はお仲が来たと思い込んで狸寝入たぬきねいりかなんかやっていたんだろう。そこを飛びついて一と思いに刺し殺し、ちょっと不動様の剣に血をつけたのはとんだ悪戯いたずらさ。
銭形平次捕物控:130 仏敵 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)